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特集記事 > アフターサービスこそが正規輸入車最大のセールスポイント
- 現代の自動車の修理&整備には設備投資が必要不可欠
- アフターサービスこそが正規輸入車最大のセールスポイント
- アフターサービスに必要なテスター(スキャンツール)を動画で解説
- 正規輸入車を購入する最大のメリットは安心感。そして、その安心感の担保となっているのがサービス工場&メカニックの存在。
- 更新日:2019.04.01
- 文/田中 享(Tanaka Susumu) 写真/田中 享(Tanaka Susumu)
取材協力
- ジープ前橋
- TEL 027-210-5117

- S&RT熊谷
- TEL 048-599-0770

- テスター(スキャンツール)の重要性を動画で紹介
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日本で販売される輸入車には「正規輸入車」と「並行輸入車」の二種類がある。ジープの場合、FCAジャパン株式会社が輸入し、同社と契約を結んだ正規ディーラー(日本各地のジープ○○)で販売されているのが正規輸入車で、正規ディーラー以外の輸入車専門店が独自に輸入して販売しているのが並行輸入車だ。
正規輸入車と並行輸入車には、それぞれのメリットとデメリットが存在する。まず正規輸入車のメリットは、日本国内を走行するための「改善」が確実に行われていること。「保証」や「アフターサービス」がしっかりしていること。購入時の支払い明細が明瞭なこと。リセールバリューが高いこと。営業、整備士など、販売店のスタッフがジープのことをよく勉強していること。等々、メリットはたくさん存在する。
デメリットとしては、メーカー小売価格が設定されているので、購入時に為替相場の変動の恩恵が受けられない場合がある(円安の際には相対的に安く感じることもある)ことや、現行モデルでは左ハンドルやマニュアルミッションの設定がないことなどが上げられる。
並行輸入車の場合は概ね上記の正規輸入車の反対となる。メリットとしては、円高の際には正規輸入車よりも車両本体価格が安価に設定される場合があること。正規輸入車には設定のないグレードや仕様をオーダーできることなどが上げられる。
逆にデメリットと言えるのが、販売店によっては日本の法規制に適合させるための改善がいい加減な場合があること。車検や修理に迅速に対応してくれない(対応できない)お店が存在すること。「輸入代行費用」「予備検査費用」「排ガス検査費用」「改善費用」etc、車両本体価格以外の様々な費用が発生する(しかも、それらのほとんどは正規輸入車では車両本体価格に含まれている場合が多い)ので、総支払額が分かりづらいこと。スタッフがジープのことをよく知らないお店が存在することなどが上げられる。
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ジープ・ワールド的には「ジープの購入で失敗したくないのであれば、それが新車であれ中古車であれ、正規ディーラーで購入するのがベスト」というスタンスなのだが、その最大の理由は「アフターサービス」の違いにある。
世の中には「正規輸入車であれ並行輸入車であれ、ジープとしての中身は基本的には同じなんだから、少しでも車両本体価格が安い方がいい」という理由で並行輸入車を購入する人もいる。その考え方自体を間違いだとは言わない。また、現代のジープは簡単に壊れたり故障したりすることは少ないので、運が良ければ並行輸入車を購入しても困ることはないかもしれない。しかし、機械である以上、調子が悪くなる可能性はゼロではないし、機械的なトラブルがなくても事故を起こす(巻き込まれる)可能性だってゼロではない。
さらに、現代の自動車には「定期点検」という作業が必要不可欠。メーカーから「リコール」がアナウンスされた時。リコールまでいかなくても「対策部品」が出た時。自動車各部のコンピューターに「アップデート」が必要な時など、設備の整ったサービスファクトリー(整備工場)で、知識&技術のあるサービススタッフ(整備士)に愛車を点検&整備してもらう必要がある。
これが正規ディーラーであれば、何かあればディーラー側からお知らせが来るし、定期点検やアップデートにはお金がかからない場合が多い。しかし、正規ディーラーと同等のケアをしてくれる並行輸入業車は稀だし、そもそも「輸入代行」を謳い文句にしている業者の中には、自社整備工場を持たないブローカーも少なくない。そういった業者で車両を購入した場合、部品の交換やプログラムのアップデートが必要になった際に困るのは目に見えている。
世の中には並行輸入車を購入しておきならが「何かあったら正規ディーラーに持っていけばいいや」みたいに考えているユーザーも存在するかもしれない。しかし、正規ディーラーの中には「並行輸入車や改造車はお断り」というお店も多いし、また仮に見てくれたとしても、当然ながら部品代や工賃などは、正規輸入車を持ち込んだ場合より確実に高額になる。
世の中には良心的な並行輸入販売店も存在する。しかし、どんなに良心的な販売店でも、正規ディーラーのサービスファクトリーと同等の設備&スタッフを用意するのは難しい。それは何故か?大変な費用がかかるからである。
現代の自動車の整備には、メーカー専用の外部診断機、つまり純正スキャンツールやテスターと呼ばれる専用ツールや、自動車メーカーのデータベースに接続するためのオンラインの契約が必要不可欠なのだが、外部診断機は一度買えば済むわけではなく、自動車の進化にともないモデルチェンジするし、メーカーとのオンライン契約は毎年課金される。つまり、販売車両のアフターサービスを充実させるためには、高額な設備投資と安くはないランニングコストが必要となるのだ。
ジープ専門で営業しているお店や、販売店ではない「修理工場」であればともかく、ジープもシボレーもフォードも扱っているようなお店が、メーカーごとに外部診断器を揃え、オンライン契約も漏れなく行うというのは現実問題としては難しい。更に言えば、そういった設備は持っているだけでなく、使いこなすことも必要。つまり、それらの機器を使いこなすための知識やノウハウをもった人材(整備士)も必要なのである。
下の動画では現代の自動車の整備や修理に必要不可欠な外部診断器について解説しているが、これを見ればサービスファクトリーの重要性がよく理解できると思うし、それこそが正規輸入車の安心感の担保になっていることがご理解いただけると思う。